読んで、観て、聴いて、書く。游文舎企画委員の日々の雑感や読書ノート。
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過去の展示作品


2008年12月21日〜23日

たかはし藤水 植物インスタレーション「ささめき」
 

草月流の師範のたかはしさんが様々な素材を使った植物インスタレーション。笹の葉を丸めて乾燥させた円筒形のオブジエを床、壁を 天井にしきつめる。たかはしさんは「蠢く生命体を感じてもらえばよい」とのこと。 


2008年11月20日〜30日

舟見倹二 BOX ART展
 

一見抽象的に見える舟見さんの作品であるが、明確なストーリーとメッセージを持っており、制作メモがさらにそれを補う。その上で物語が完結するのを敢えて拒んでいる。BOXの内界で閉ざされることなく、物語から自立した作品でもあるためだ。そのためには物語を構成する「もの」たちを、作者が託したさまざまな意味から再び解放しなくてはならない。その往還が舟見さんの作品をとりわけ重層的にしているのだと思う。
実は、初めて「金モールの記憶」を観たとき、私はモチーフとなったものの本来の用途をほとんど知らなかった。眼前にあるのは、古びた鉄やモールといった異素材を組み合わせ、どこか宗教的な空間として構成した立体コラージュであった。今展で、「もの」は素材=物質に還元され「時間」を、構図は観る者に精神的、普遍的なイメージを想起させる重要な要素であることに気づかされた。
舟見さんの作品には、金属、鉱物、木、布、紙等実に様々な材質が用いられている。しかも使い古されたものや、真新しいもの、加工され形となっているものもあれば、生(き)のままのものもある。それぞれ異なる時間と来歴を持った物質は、思いがけない融和をもたらす一方で、反発し合い、なお変性し破綻を来す予兆さえ孕む。
「物差の秘密」という作品は、キャンパス裏地を貼った一段上にさらに、鉱物や金属の粒子で埋め尽くされた背景が使われている。そのざらりとした質感は、版画や地図を使った他の作品とは全く異なる。もっともその下には地図や版画が使われているらしいのだが、まるで砂塵に覆われたように、ほとんど跡を留めない。その上に配されている、折れたコンパスや物差等は、物理的な距離というよりも戦争の記憶や意識、といった精神的な距離の象徴である。しかし、背景の粒子は、明確なフォルムを持った計測器類よりも強い印象を与え、観る者の意識の中でさらに増殖し、計測の足場を見失わせる。それどころかいずれそれらも砂に埋もれ、風化し、ぼろぼろの鉄と木片になる未来をも予感させる。
物質のせめぎ合いをより意識的に感じさせるのが、「ふたたび硫黄と鉄の出合い」である。BOXの中にさらに小さなBOXが入る二重構造になっているが、小さい方は過去のBOXART作品である。この小さなBOXに硫黄と有刺鉄線が封じ込められている。硫黄は火を付ける材料として日常的に使われていたものだが、もちろん硫黄島をも連想させる。しかしまるで生のままのような鮮やかな黄色の硫黄と、銀色に光る真新しい有刺鉄線の組み合わせはどうにも落ち着かない。均衡のとれた構成にもかかわらず、きしむような不協和音を響かせる。作者は、いつか錆びるであろう鉄をBOXごと封じ込めることによって、作品の未来を人為の及ばない変容に委ねる。それはBOXの中で展開する未来に、私たちは立ち会えるのか、という問をも投げかけているようだ。


2008年10月18日〜26日

佐藤伸夫展
 


2008年9月13日〜21日

田辺和栄展
 

油彩画展。新潟県柏崎市高柳で制作をされているアーティスト。暮らしの営みの中で感じたこと見つめたことを色や形に表現している。


2008年7月19日〜27日

谷川 彰展
 

谷川 彰  抽象画家。
市内新橋の公仁会中央ライフセンター内、文学と美術のライブラリー「游文舎」では19日から27日まで、「柏崎が生んだ抽象画家の軌跡・谷川彰展」を開いている。谷川彰は昭和五年柏崎市に生まれ、日大芸術学部、武蔵野美術学校卒。針生一郎や坂崎乙郎に認められ、80年代は帰郷後も東京 平成5年に死去。同年5月に柏崎市の産文会館とエネルギーホールで遺作展が開かれているが、それ以来、15年ぶりの展覧会だ。会場には油彩作品を中心に、80年代末から92年までの作品約50点が展示されている。
谷川作品の特徴は、鮮やかな色彩と抒情性に溢れた構成にある。晩年海を見渡す番神にアトリエを構えてからの作品は、線と絵の具の飛沫のたわむれの中から、波の音や潮風の音が聴こえてくるような気持ちにさせられる。深い抒情性を湛えた音楽的な作品の数々を楽しんでいただきたい。
柏崎が生んだ唯一人の抽象画家ともいえる谷川彰は、忘れられてはならない画家の1人である。
●アトリエ/〒945-0831 柏崎市柳橋町7-26 TEL.0257-23-2376


2008年6月14日〜29日

游文舎オープニング企画展第2弾
「いのちのつぶやきが聞こえる・菅 創吉展」
 

菅創吉は、明治38年兵庫県姫路市生まれ。幼いときから絵を描いていたが、本格的に画家を目指したのは51歳から。58歳で渡米、ロサンゼルスやサンフランシスコなどで個展を開き、61歳でニューヨークに進出。アメリカで認められて67歳で帰国した。典型的な大器晩成型の画家である。
その作品は、圧倒的なマチエールで観る者に迫る。と同時に、誰も見たこともないような大胆かつ計算されたデフォルメを特徴とする。時には金属のような、あるいは古代遺跡から発掘された遺物のようなマチエールは、観る者を驚かせるだろう。大胆なデフォルメは、「こんなことがあり得るのか」という感じで、観る者の感性を不可能に向けて解放するに違いない。
創造力の極地を示すそれらの作品は、まさに“知られざる巨匠”の作品と呼ぶべきものだ。今回の「菅創吉展」は、「木下晋展」に引き続いて、文学と美術のライブラリー「游文舎」のオープニング企画第二弾として開催される。油彩、立体作品約30点を展示する。
監修は、小田原の「すどう美術館」。同館の館長・須藤一郎氏は、菅創吉の絵に出会ったことで、平凡なサラリーマンから大きく人生を変えてしまった人だ。菅の作品を蒐集し、「世界一小さい美術館」をつくってしまった。銀座に「すどう美術館」を開設して10年、若い作家の育成につとめているが、昨年小田原に引っ越した。14日午後2時から、須藤一郎氏の講演会「菅創吉・ユーモアとヒューマンな愛」を開く。参加費は500円。


2008年5月10日〜25日

游文舎オープニング企画 「木下晋のペンシルワーク」
 

オープニング企画として木下晋の鉛筆画を「ギャラリー十三代目長 兵衛」と共同開催。